キミより早く眠り、キミに起こされるのが、スキ
これはあたしの持論なのですが。
相手の寝顔をより多く見ている方が。
その関係性において、より弱い位置にいるような気がするのです。
先に眠ってしまう方
なかなか起きてこない方
いつだってそっちの方が。
ずっと淋しくないような気がするのです。
「スキな人の寝顔ほどカワイイもの、ないよネ!」
って人はよく言ったりするわけなのだけれど
あたしはそうは思わない。
そりゃあカワイイけどさ。
でも、そんなの一瞬だ。
眠っているキミはもうあたしとは違う世界にいて。
その世界に、まだエスパーではないあたしは介入できない。
それが無意識だったとしても
たとえば握った手を煩わしそうに振り払われるのが怖くて
あたしは大抵悪戯することもできずに
早くその寝息が聞こえないところに行けるよう
ギュッと瞼を閉じて、精一杯努力するのです。
だからあたしは「おやすみ」の後はなるべくさっさと眠りたい。
眠れなかったら「ねえ起きてるー?」を連発して
きっとキミをもう一度起こしてから、こっそり眠るのです。
朝は朝で、何度も起こされるのがいい。
2度寝3度寝が何よりもスキで
「や、あとちょっとで夢終わるから…」
「や、なんか、体調的にあと3分寝た方がいい可能性があるなぁ…」
「惜しい。今の起こし方惜しいよ。あたしもう一回寝てるからもいっかいやっていいよ。」
「あと1分、あと1分…」
「え、もう?じゃあ、ドン!さらに倍!」
「にゃあ!」
と
数々の妄言を吐いて親友の布団ちゃんとの別離を阻止しようとするあたしのことを
懲りず怒らず呆れずに
辛抱強く、何度も笑いながら起こして欲しいのです。
だって。寝起きのあたし、割と面白いし。
ただの寝起きが悪い人よりはマシでしょう?
それに
先に起きてさっさとシャワーを浴びていると
なんだかとたんに世界が怖ろしく客観的に見えてきて
布団にまだくるまっているキミが
なんでそもそもここにいるのかすら
わからなくなってしまうときがあるから
そしてそれは
サクロンを無理矢理飲んだときに味わうあのカラダの内側からスーッとなる感じに似た
ヒンヤリとした質の悪い淋しさに直結してしまうから
だから。起きるのは後がいい。
暴力的に喚く電子音じゃなくて。
ちゃんと人の手で起こされたい。(何度も)
先に眠り、後に起きる。
我侭で怖がりなあたしなりの日々の遣り過し方です。